2026年6月、当社が協賛する「NHK学生ロボコン(学生ロボコン)2026 ~アジア・太平洋ロボコン(ABUロボコン)代表選考会~」が、東京・EBARA WAVEアリーナおおた(大田区総合体育館)で開催され、横浜国立大学「Robo+ism(ロボティズム)」がマブチモーター賞を受賞しました。学生ロボコンOBの社員を含む当社社員4名が横浜国立大学を訪問し、Robo+ism代表のYutaro Iさん、チームメンバーのShinnosuke Fさん、Kento Hさん、Jyoji Oさんの4名に、ロボット製作の裏側や大会の振り返りについてインタビューしました!左からJyoji Oさん、Kento Hさん、Yutaro Iさん、Shinnosuke FさんRobo+ismとは?2012年に創部した横浜国立大学のロボコンサークルで、学生ロボコン優勝を目指して活動しています。学生ロボコン2026には、3年生を中心に4年生も加わった2学年体制で挑み、3年ぶりの本選出場を果たしました。香港の武術から着想! 学生ロボコン2026の競技課題「カンフークエスト」とは?競技課題名は「カンフークエスト Kang Fu Quest」。ABUロボコン2026の開催地である香港の古代武術から着想を得た競技です。自動ロボットを含む2台のロボットが協力して槍を組み立て、秘伝書を集めてアリーナの棚に配置して得点を競います。秘伝書を最上段の棚に配置するためには、ロボット1がロボット2を持ち上げる合体動作も求められます。棚の縦または斜めの1列(3マス)に秘伝書をそろえる「カンフーマスター」を達成すると、その時点で勝利となります。全国から40チームがエントリーし、事前審査を通過した18チームが本選に出場しました。試合に臨むチームメンバー(左、中央)と、チームの活躍を応援するRobo+ismの皆さん(右)Robo+ismは、自動ロボットであるロボット2の不調により予選第1試合では苦戦したものの、次の試合までの間に調整を重ね、予選第2試合では穂先の回収と槍の組み立てに成功しました。クレーンをモチーフにしたダイナミックなアームを備えたロボット1が躍動しました。シンプルさと高剛性化を追求! Robo+ismのロボットの工夫- 製作したロボットの強みや特長について教えてください!ロボット1(左)と、ロボット1のカウンターウェイト機構(右)ロボット2(左)と、ロボット2の展開機構を説明するShinnosuke FさんとYutaro Iさん(右)Kento Hさん制御担当者が限られていたため、「シンプルさ」を重視しました。アクチュエーターの数を減らし、制御も操縦も簡単にできるように設計しています。ロボット1のクレーンをモチーフにしたアームもシンプルな構成で、モーター1個で大きな動作を実現できています。ロボット2では、剛性が低いと制御が難しくなるため、機体の高剛性化に力を入れました。機体の安定性を高めることで、制御のしやすさにつなげています。Yutaro Iさんロボット2の高剛性化は重要なポイントだったため、2台のロボットの重量配分を工夫しながら設計を進めました。また、競技の最後にはロボット1がロボット2を持ち上げて合体する必要があります。ほぼ同じ重量のロボットを倒れずに持ち上げなければならず、ロボット2を持ち上げた際に重心が偏って機体が不安定になりやすいため、その対策に特に苦労しました。そこで、カウンターウェイトを反対側に展開してバランスを取り、安定して持ち上げられるように工夫しました。- 高剛性化するためにどのような工夫をされたのでしょうか?Kento Hさんロボット2では、段差を昇降する際の安定性が大きな課題でした。当初は四隅の車輪だけで走行する構成を考えていましたが、昇降時には2輪だけで支える状態になる場面があり、機体が不安定になってしまいました。そこで機体下部の中央に5つ目の車輪を追加し、昇降時でも常に3輪が接地できるようにすることで、安定性を高めています。また、ベアリングに予圧を加えることでガタを抑え、より安定した動作を目指しました。5つの車輪により安定して段差を昇降するロボット2- ロボット2の制御面で難しかったことは何ですか?Jyoji Oさんロボット2は競技ルール上、自動ロボットにする必要がありましたが、自動ロボットを製作するノウハウが少なく、昇降はもちろん、フィールド内で自分の位置を把握し、目標地点まで正確に移動させること自体が難しかったです。限られた時間の中で、試走とプログラムの調整を積み重ねて対策しました。「まさか本当に!?」 本選出場決定の舞台裏- 3年ぶりの本選出場が決まった時の気持ちはいかがでしたか?Yutaro Iさん例年、2次ビデオ審査で落選していたため、通過したチームがどのようなビデオをつくっているのかをヒアリングしました。今回は、一連の流れで最後まで競技ができるロボットであることが伝わるよう、見せ方を工夫しました。こうした改善によって手応えはありましたが、一方で自動化が完成しきっていないことから、通過は厳しいかもしれないとも思っていました。そのため、本選出場が決まった時は嬉しさよりも、驚きの方が大きかったです。Kento Hさん本選出場は難しいかもしれないと思っていたので驚きましたが、「本選に向けて更に頑張るぞ!」と気合が入りました。ロボット開発に取り組むメンバー(左)、練習に励むメンバー(右)本選で見えた課題と収穫!- 本選を振り返って、いかがでしたか?Shinnosuke Fさん横浜国立大学が最後に本選へ出場したのが3年前だったため、学生ロボコン当日に関するノウハウをもう一度整理できたのは大きな収穫でした。前日や当日の細かな部分など、実際に出場しないとわからないことも数多くありました。当日はヘルメットにカメラを装着し、選手目線の映像も撮影したので、今回の経験を後輩たちに伝えられるよう資料として残したいと思っています。Kento Hさんロボット1を軽量化したことで壊れるリスクがあったため、予備部品をたくさん持って行きました。ただ、大会前日に想定していなかった箇所が壊れてしまい、本番直前に何が起こるかわからないことの怖さを実感しました。当日はロボット2が不調で、すべての動きを見せることはできませんでしたが、機体だけでも大舞台で多くの人に見てもらえたことは嬉しかったです。Jyoji Oさんプログラムが原因で、思うように動かない機能がありました。変更を加えるかどうか悩みましたが、「少しでも動いてほしい」という思いで最後まで調整を続けました。その結果、ロボットが動いてくれて本当に良かったです。技術とノウハウを未来へつなぎ、更なる飛躍へ!- 今後の抱負について教えてください。Shinnosuke Fさん3年生で引退する人が多いですが、私は4年生でも活動を続け、後輩をサポートしながら学生ロボコン出場を目指したいです。今回の経験をしっかりと吸収し、次のアウトプットに活かしていきたいです。Jyoji Oさん学生ロボコンを通じて、自分の課題や今後伸ばしていきたい点が見えました。これからもたくさんのことを学び、技術を磨き続けながら、自分が1、2年生の時に知りたかったことを後輩に伝えていきたいと思います。Yutaro Iさん3年前から技術や情報が途切れてしまっていたことが、本選出場が遠ざかっていた原因だと考えています。OBも含めた組織として、再現性のある出場を目指す中で、ノウハウをどのようにシステム化し、残していくかを整理していきたいです。Kento Hさんこれまで設計してきたものを資料として残し、後輩たちに技術を引き継いでいきたいと思っています。また、部品の規格化や複雑な機構の解説資料の整備も進めていきたいです。どんな人でもきちんと設計できる仕組みや環境を整え、チーム全体の技術力向上につなげていきたいと思います。限られた人数やリソースの中で、より良いロボットづくりを目指し、機構や制御、そしてビデオ審査の見せ方まで改善を重ねる姿が印象的でした。3年ぶりの本選出場の背景には、こうした努力があったことを強く感じました。また、今回の経験やノウハウを次世代へつなげていこうとする想いにも深く感銘を受けました。今後のRobo+ismの皆さんの更なる活躍を心より応援しています!