当社は2002年より「アイデア対決・全国高等専門学校ロボット(高専ロボコン)」に協賛しています。2024年11月に東京・両国国技館で開催された高専ロボコン2024全国大会では、関東甲信越地区大会でマブチモーター賞を受賞した木更津高専「きさぺん越冬隊」が8年ぶりの大舞台に立ちました。当社社員が木更津高専を訪問し、ロボット研究同好会の皆さんから2024年大会の振り返りやペンギンをモチーフにしたロボットの魅力について伺いました!木更津高専「きさぺん越冬隊」について木更津高専のロボット研究同好会は、約40名の学生が所属しており、クラブ活動の一環として高専ロボコンに参加しています。「きさぺん越冬隊」のチームメンバーは8名で、全国大会に向けて関東甲信越地区大会に出場した2チームの主要メンバーが集まり、新たにチームを編成しました。2024年の競技課題「ロボたちの帰還」について約5メートル離れたフィールドにロボットを飛ばして、フィールド内に置かれたボールとボックスを回収し、接地禁止エリアを越えて元の場所へ帰還する、というミッションに全国の高専生たちが挑戦しました。最高点は合計350点で、飛ばしたロボットの着地位置や、ボールとボックスの回収数によって得点が変わります。8年ぶりの全国大会へ 想いを込めたペンギンロボットたち-かわいらしく魅力的なペンギンロボットですが、なぜペンギンをモチーフにしたのでしょうか?ペンギンモチーフのロボットたちに込めた想いを語るTomotaka Iさん(右)Tomotaka Iさん木更津高専は、全国大会に出場できない「冬の時代」を8年間過ごしていました。この状況を乗り越えたいという強い気持ちから、プロジェクト名を「きさぺん越冬隊」としました。また、ペンギンをモチーフに選んだ理由は、ペンギンの群れの中で最初に海へ飛び込む「ファーストペンギン」の勇気ある姿に、私たちの挑戦心と願いを重ねたからです。技術とアイディアが詰まった3体のロボットが織りなす連携プレー-そのような皆さんの強い想いが込められたロボットのこだわり、特徴は何ですか?Tomotaka Iさん私たちは3種類のロボットを開発しました。 1.きさぺん島(きさぺんや波ロボの射出用ロボット) 2.きさぺん(ボックス回収用ロボット) 3.波ロボ(目標地点への着地及びきさぺんのジャンプ台用ロボット)まず、きさぺん島がきさぺんと波ロボを約2.5~5メートル離れた地点に射出します。その後、きさぺんがボックスを回収し、波ロボをジャンプ台として利用して接地禁止エリアを飛び越え、元の場所に戻ります。発射力の異なる発射台を2台設置(左)、発射機構に当社のパワーウインドウ用モーターを活用(右)Tomotaka Iさんシンプルで効率的な発射機構が特徴で、マブチモーターに提供いただいたパワーウインドウ用モーターの力を利用し、自動でバネを引き伸ばしてきさぺんや波ロボを発射します。パワーウインドウ用モーターは、内部にウォームギアが搭載されており、出力軸に力が加わってもモーターが逆転することなく、バネの力に負けず安定して動作するという利点があります。また、バネを引き切ると自動的に発射する仕組みを採用しており、効率性と利便性を高める工夫を施しました。シンプルな構造を採用し軽量化を実現(左)、メカナムホイールで移動性を向上(右)Yuki Kさん地区大会は一般的な車輪を使用し、左右の車輪の回転差で旋回や方向転換をしていましたが、全国大会ではスタート地点から発射地点までスムーズに移動できるよう「メカナムホイール」を採用しました。また、メンテナンスしやすいよう、メカナムホイールの取り付けに必要なネジの数を最小限に抑えました。きさぺんのこだわりを説明するTenma Jさん(左)、転倒防止のためきさぺんの翼部分にアームを設置(右)Tenma Jさんきさぺんは、吸盤と真空ポンプを活用してボックスを回収します。元のエリアにジャンプで戻る際、着地の衝撃でボックスを落とさないように、様々な厚さや大きさの吸盤を試し、最適なものを選びました。(写真説明)楕円形の車輪を採用した波ロボ(左)、車輪駆動用に当社の「RS-380PH」を使用(右)Tenma Jさん地区大会では円形の車輪を使用し、ジャンプ台となる板を片面にのみ設置していました。全国大会ではロボットが転倒した際に自力で復帰できる機能が求められたため、車輪を楕円形に変更しました。楕円形にすることで重心の高さを変化させ、自力で体勢を立て直すことができます。多岐にわたる準備に苦労 進捗報告でメンバーの意識を統一-デザインだけでなく機能性にもこだわり抜いて製作されたのですね!大会の準備で大変だったことは何ですか?木工班として競技フィールドの備品やロボット輸送用の箱の準備を担当したHiroki YさんHiroki Yさんロボットの製作だけでなく、地区大会では主催校として競技会場で使用する備品の準備、全国大会ではロボット輸送用の箱を制作する作業もあり、大きな挑戦となりました。箱の制作では、予算不足もあり完成が大会直前となってしまいましたが、他のメンバーがロボットをしっかりと仕上げてくれたおかげで苦労が報われました。-難局を乗り越えるために工夫されたことはありますか?Tomotaka Iさん自分にできることを率先して取り組むことで、チーム全体の作業を円滑に進めることを意識しました。また、マネージャーを務めた先輩がチームのマネジメントをフォローしてくれて、大変助かりました。Tenma Jさん毎日の進捗をTeamsで共有したことは非常に効果的でした。進捗の共有を通じて、全員が同じ目標に向かって努力する意識がより一層高まりました。Tomotaka Iさん全国大会出場を決めた後にメンバーの再編成を行い、8年ぶりの大舞台に向け士気が一層高まりました。対面でのコミュニケーションを増やし、同好会一丸となって準備を進めました。大会に向けて一丸となって準備を進める木更津高専歓声に包まれたきさぺんの帰還! 全国大会への切符を獲得-多くの努力を積み重ねて大会本番を迎えられたのですね!地区大会を振り返っていかがですか?きさぺんの帰還に成功したメンバーTenma Jさんきさぺんがきれいにジャンプして帰還に成功した瞬間、本当に嬉しくて「よっしゃー!!!」と心の中で叫びました。高速のきさぺんで波ロボのジャンプ台を踏み切る操作は非常に難しく緊張しましたが、成功することができ興奮しました。Hiroki Yさん試合が始まると会場裏のモニターに多くの学生や先生が集まり、「飛べ!飛べ!」と皆で一緒に応援していました。帰還に成功した瞬間、会場内に負けないほどの大きな歓声があがりました。-皆で喜びを分かち合ったきさぺんの帰還だったのですね!全国大会への出場が決まった瞬間はどのような気持ちでしたか?Tomotaka Iさん嬉しさと驚きでしばらく放心状態になりました。今振り返ると、ルールを正面から捉えジャンプして帰還するロボットを製作できたことが、全国大会に出場できた大きな要因だったのではないかと感じています。悔しさを成長の糧に! 全国大会で学んだ教訓-8年ぶりに挑んだ全国大会はいかがでしたか?Tenma Jさん地区大会とは全く異なる雰囲気の中、他地区の強豪チームの存在感に圧倒されました。競技面では、きさぺんのジャンプがうまくいかず、その魅力や機能を十分に発揮できなかったため、とても悔しかったです。全国大会の厳しさを痛感しました。また、深く考え込むよりもまずロボットを作り、うまくいかなければ作り直す方が効率的だと学びました。全国大会の出場チームと交流した際に、彼らも何度も作っては壊すことを繰り返していると聞き、とても参考になりました。全国大会の大舞台に挑んだメンバー全国大会出場の経験を活かし、新たな挑戦への決意-今後の抱負を教えてください!今後の抱負を語る右からTomotaka Iさん、Tenma Jさん、Hiroki YさんTomotaka Iさん2024年の経験を活かし、2025年も全国大会出場を目指して全力で取り組みたいです。Tenma Jさん全国大会を通じて培った技術や知識を更に磨き、連続で全国大会に出場できるよう努力したいです。Hiroki Yさん全国大会出場の実績を活かし、新入生を多く勧誘して技術や知識を次世代に継承し、木更津高専ロボット研究同好会の更なる発展を目指したいです。今回、木更津高専及びロボコンOBの当社社員のRyo Sも訪問し、皆さんと交流させていただきました。きさぺんを実際に操作して緻密な動きを体感し、感想と応援のメッセージを伝える木更津高専OBのRyo S-OBのRyo Sは皆さんのお話を聞いて、いかがでしたか?Ryo S私も約10年前に木更津高専でロボコンに取り組んでいましたが、皆さんのロボコンへの熱意に触れ、当時の楽しかった思い出や情熱を思い出しました。また、皆さんは自分の取り組みについて説明や根拠づけがとても上手で、このスキルは社会人になった後も大いに活かされると思います。皆さんの今後のご活躍を心から楽しみにしています。どうぞ頑張ってください!-「8年ぶりに全国大会に出る!」という熱い想いを胸にこだわり抜いてロボットを製作された皆さんの高専ロボコンへの情熱に深く感銘を受けました。2025年大会での更なる活躍を楽しみにしています!お話を聞かせていただき、ありがとうございました!