当社は「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)」に協賛しています。2024年11月に東京・両国国技館で開催された高専ロボコン2024全国大会では、6年ぶりに出場を果たした函館高専「HAKODAKE(ハコダケ)」がマブチモーター賞を受賞しました。今回は、チームメンバーの皆さんに、製作したロボットの魅力や大会の振り返りをインタビューしました!函館高専「HAKODAKE」について函館高専はクラブ活動の一環として高専ロボコンに取り組んでおり、約20人が所属しています。「HAKODAKE」のチームメンバーは8人で、全国大会に向けてチームメンバー以外の部員もサポートして一丸となって準備しました。2024年の競技課題「ロボたちの帰還」とは?今回の課題では、約5メートル離れたフィールドにロボットを飛ばして、フィールド内に置かれたボールとボックスを回収し、接地禁止エリアを越えて元の場所へ帰還する、というミッションに高専生たちが挑戦しました。最高点は合計350点で、飛ばしたロボットの着地場所と、ボールとボックスの回収数によって得点が変わります。役割ごとに5台のロボットを製作! 全国大会では更に改良-今回製作されたロボットのこだわり、特徴について教えてください!Keiji Kさん製作したロボットは全部で5台ありますので、それぞれの特徴を紹介します。Keiji Kさんルールの発表後、当初はカタパルト式や、ばねを用いた方法で飛ばせないか試していました。しかし、ばねの場合は競技中にエネルギーをためる工程が必要なため、制限時間内で素早く射出可能なエアシリンダーを採用しました。Keiji Kさんボール射出用ロボットは、地区大会ではローラーを左右に配置していましたが、左右の回転数の差や表面の摩擦の違いでボールが曲がってしまう課題があり、これを改良しました。動力の伝達を簡略化したことで飛距離が向上しました。Taichi Uさん制御面での開発のこだわりとして、1人が複数台のロボットを操縦できるソフトウェアをコントローラー内に作りました。大会本番では通信が混線してうまく動きませんでしたが、通信できていれば各ロボットが良い動きを見せてくれていたと確信しています。Keiji Kさん地区大会では全国大会出場を目指して成功することを第一に設計しました。全国大会ではせっかくの大舞台を楽しみたいという想いがあったので、機構を大幅に変更し、技術的なハードルが高い改良に挑戦しました。2024年大会ならではの苦労も 開発の進捗管理を工夫-大会の準備で大変だったことはありますか?Taichi Uさん 私は部長を務めていたのですが、今回の競技では1キログラム超あるロボットを5メートル飛ばす必要があるため、安全に練習できるスペースの確保に苦労しました。顧問の先生と調整を重ねて、学校の体育館を使うことができました。Keiji Kさん製作面では、飛ばすたびに破損するロボットの壊れた原因の特定や、改良のための各ロボットの担当者との調整が前回大会よりも多く大変でした。Taichi Uさん複数のロボットを製作する過程で、大量のモーターや基盤が必要となり、その準備にも苦労しました。-今回のルールならではの苦労があったのですね!チームで進める上で工夫したことはありますか?Taichi Uさん練習場は確保できたのですが、練習できる時間や回数は限られていたため、カレンダーを作成して共有することで、全員が同じペースで開発を進められるようにしました。(写真説明)大会に向けロボットの開発に取り組むメンバー全国大会出場を決めたことで結束力はより強固なものに!-プロジェクトマネジメントをされていたのですね!ロボットは何人で製作されたのですか?Taichi Uさん地区大会の時はロボット1台につき設計担当者が1人ずつおり、他に電気担当1人、制御担当2人の計8人程度で製作しました。加工はどのロボットにも共通で必要な作業のため、制御担当が手伝うことで設計担当者の負担を減らしていました。Keiji Kさん地区大会で私たちのチームが全国大会進出を決めたため、同じ部のもう一つのチームのメンバーにも協力してもらい部員全員で一丸となって製作しました。お互いを支え合うメンバー-チームメンバーや他の部員と協力して進めてきたのですね。チームの結束力を高めるのは大変でしたか?Taichi Uさん一緒に挑戦し、克服してきた時間がチームの結束力を高めましたが、地区大会で6年ぶりに全国大会の切符をつかめたことで、より一層高まったと思います。課題に取り組み始めた当初は週5回ほど活動していましたが、地区大会の直前から全国大会が終わるまでは先生にお願して土日も活動しました。夏休み中は9時から17時まで活動し、設計担当者は自宅で作業することもありました。制御担当者もソフトウェアは自宅で開発し、部室では加工に徹するなど時間の使い方も工夫していました。地区大会で結束力をより高めた函館高専の皆さん全国大会の熱気を体感!! 大舞台で見えた課題と学び-総力をあげて大会本番を迎えられたのですね。大会当日を振り返っていかがですか?Taichi Uさん他チームからは地区大会で感じたことがないほどの気迫が伝わってきて、圧倒されてしまいました。また、細かな点ですが、他チームはロボットの調整を行うピットの使い方が上手だと思いました。Keiji Kさん使いやすさを考慮して部品や工具を収納する棚などを持ち込んでおり、限られたピットのスペースをフル活用していました。私たちは道具を梱包して持って行っただけだったので、非常に勉強になりました。Taichi Uさんテストランや計測といったやるべきことの順序をチーム内で確認し、ピット内でも無駄のない声掛けをしていました。全国大会に出場する他チームのロボットは完成度が高く、機能面はもちろん、デザインも素晴らしかったです。私たちは機能を実現するのに精一杯でしたが、他チームは「かっこいい」と一目で思わせるデザインを実現していたためレベルの差を感じました。初めての全国大会出場を通じて、他チームからの学びや刺激を受けたことで更にロボコンが好きになりました。-初めての全国大会で様々なことを感じられたのですね!競技についての振り返りはどうですか?全国大会の大舞台に挑んだメンバーTaichi Uさん地区大会の経験しかなかったことが原因なのですが、通信の混線による影響の大きさを痛感しました。北海道地区大会は出場チーム数が少ないため、通信周波数帯が被っても大きな影響はありませんでしたが、全国大会では出場チーム数が3倍に増えたため、うまくロボットを動かすことができませんでした。Keiji Kさん混線対策の必要性は全国大会に出るまで全く知らなかったので、衝撃でした。トラブルはありましたが、最後まであきらめずに取り組めたことは良かったですし、私たちも気持ちでは負けていなかったと思っています。Taichi Uさん全国大会では他の高専生と交流し、技術的な話や情報収集の方法を教えてもらうなど多くの学びがありました。強豪校はオフシーズンの過ごし方が違うと分かったことも大きな収穫でした。スキルを磨き、アイディアを具現化 全国大会優勝を目指して-今後の抱負について教えてください!今後の抱負を語るKeiji Kさん(左)、Taichi Uさん(右)Taichi Uさん2024年は技術的に断念することが多い1年だったので、2025年は自分たちの理想のロボットを製作できるようにしていきたいです。Keiji Kさんアイディア出しの段階で私たちも考えたけれど技術的なハードルが高く断念した、「大きいロボットを飛ばす」というアイディアが他チームでは採用されていて、「その方法があったのか!」と思いました。自分たちの持っている知識だけで挑むのではなく、取り組む中で新しい情報をどんどん取り入れてブラッシュアップしていきたいです。全国大会優勝を目指し、オフシーズンである今から次に向けて、どのような競技課題にも共通して必要とされる制御方法や通信方法など汎用的な技術・スキルを磨いていきます。2024年大会での学びを活かして、更にパワーアップされた皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。ありがとうございました!